相続のご相談
相続登記
相続登記とは、亡くなった方が土地や建物の不動産を所有していた場合に、その名義を変更することです。この相続登記は、「いつまでに済ませなければいけない」といった期限がありません。そのため、「そのうちにするから・・・」と亡くなった方の名義のままでいるケースも多く見受けられます。
しかし、相続登記をしておかないと次のような不都合が生じることがあります。
新たな相続が発生した
相続人が亡くなり、相続人の数が増えてしまうことがあります。
普段交流のない他の相続人との話し合いは難しく、まとまらない事例も見受けられます。相続人が認知症等になってしまった
遺産についての話し合いは、相続人全員が、話し合いの内容をきちんと理解し自分で判断できる状態で参加する必要があります。相続登記をしない間に認知症等になってしまい、話し合いの内容を理解できなくなった相続人がいると、その方は話し合いに参加できません。この場合は、代わりに話し合いに参加する成年後見人等を家庭裁判所に選任してもらう手続が別途必要になります。
相続人の一人と音信不通になってしまった
遺産についての話し合いは、相続人全員が参加して行う必要があります。相続登記をしない間に、行方不明になってしまった相続人がいると、その方は話し合いに参加できません。この場合は、次のような家庭裁判所の手続きが別途必要になります。
売却したいができない
両親が亡くなり実家が空き家になったので、買主を見つけて売却したいと思っても、亡くなった方の名義のままでは売却の話し合いが進められません。
土地や建物を担保に金融機関から借入れをしたいができない
土地や建物に抵当権(根抵当権)を設定して金融機関から借入れをする場合、亡くなった方の名義のままでは手続が進められません。
相続登記の流れ
- ご相談
- 相続財産の調査、戸籍等の書類収集
- 相続人の確定
- 遺産分割協議
- 登記に必要な書類(相続関係図、遺産分割協議書等)の作成
- 書類に署名捺印
- 登記申請書の作成
- 法務局へ登記申請
通常、ご相談から登記完了まで1か月前後かかります。事案によっては1年以上かかることもあります
必要な書類
亡くなった方に関する書類
- 出生から死亡までの戸籍、除籍、原戸籍の謄本
- 住民票の除票(本籍・筆頭者の記載があるもの)
- 登記済権利証(紛失した場合でも登記は可能です)
- 遺言書
相続人に関する書類
- 相続人全員の戸籍謄本
- 住民票
- 印鑑証明書
※ただし、相続関係により、上記以外の書類が必要な場合もあります。
その他の相続財産承継手続についてもご相談下さい。
- 預貯金の解約・払戻し、名義変更
- 株式、投資信託、社債等の名義変更
- 自動車の名義変更
- 相続放棄の手続 など
死亡後の事務手続
- 生命保険金の請求、未支給年金の請求、遺族年金の請求
- 公共料金等の名義変更
- 国民健康保険、後期高齢者医療の資格喪失届、介護保険の資格喪失届
- クレジットカード・携帯電話等の手続 など
相続放棄
亡くなった方に多額の借金があったり、連帯保証人になっていたりした場合、相続人はその責任も相続します。この場合、家庭裁判所に相続放棄の申述をすることで、この責任を相続しないことができます。ただし、相続の放棄は、遺産の全てについて包括的にしなければならず、一部についてのみ(例えば借金だけ)放棄することはできません。
また、先順位の相続人が全員相続放棄をした場合は、後順位の相続人が相続することになります。先順位の相続人が全員相続放棄をしているか分からないため、自分が相続人であるか不明な場合には、相続放棄の申述の有無を家庭裁判所に照会することができます。
相続放棄の期間
相続の開始を知った時から3ヵ月以内に家庭裁判所に申述書を提出しなければならないという期限があります。
ただし、3ヵ月以内に相続人が相続財産を調査しても、相続を承認するか放棄するかの判断資料を得ることができないような場合には、期間の伸長の申立てができます。
必要な書類
- 亡くなった方の住民票の除票または戸籍の附票
- 亡くなった方の死亡の記載のある戸籍謄本
- 亡くなった方と相続放棄する方との関係が分かる戸籍謄本
※ただし、相続関係により、上記以外の書類が必要な場合もあります。
司法書士からのアドバイス
※相続人や被相続人の利害関係人(債権者等)は、相続放棄・限定承認の申述の有無について家庭裁判所に照会することができます。
例えば、被相続人に多額の借金があり、先順位の相続人が相続放棄をしたようだけれど確認することができない場合、後順位の相続人は裁判所に照会することができます。照会の結果、先順位の相続人が相続放棄をしており自分が相続人になったことが分かれば、そこから3ヵ月以内に相続放棄の申述をすることができます。